初年度の「気象データの自動収集を行うデータ観測サーバの開発」、「気象データベースの設計と実装」に引続き、以下の事項について開発を行なった。 データの可視化部品の設計と実装:気象データには、気温、湿度、気圧などのように時間的に緩やかに変動するものと、風速、風向のように絶えず変動する2種類のデータがある。前者については、データベースから検索したデータを時系列でグラフ描画するプログラムを作成した。後者については、風速計、風向計を模したJavaアプレットによるデータ可視化部品を作成した。これはネットワークを介して受信したデータの変動に合わせて、風速、風向のメータ指示が動くようにできている。動的なデータの可視化については、データ観測サーバからのリアルタイムでのデータ通信が必要となる。現状では、ユニキャストUDPによるデータ通信を行っているが、クライアント数の増大や、複数地点のデータを同時に可視化するといった利用を考慮し、マルチキャスト通信への変更を検討している。 オーサリング環境の開発:本システムの柔軟な可視化機構を利用するためには、どのようなデータをどのような形で可視化するのかを、ユーザ地震が指定できるようにする必要がある。そこでGUIベースのオーサリング環境を開発した。気象データベースとの親和性から、オーサリング環境はPHPスクリプトを生成するものとした。これにより、データベース操作用の部品と前述のデータ可視化部品をGUIから選択することで、ユーザの目的にあったデータの検索・表示が可能なユーザインタフェースを作成することが可能となった。ただし、機能的には最低限のものしか実装できておらず、さらなる検討と開発が必要と考える。また、今回はPHPスクリプト生成という形での実装を行ったが、ソフトウエアの部品化の利点を活かし、システム全体をオブジェクト指向のソフトウエアシステムとして再設計していくのが望ましいと考える。 以上、当初目標としていたシステムのプロトタイプは出来上がったが、実用的なシステムとしてはまだ不十分な点が残されている。それらの改善を進めるとともに、研究成果の取りまとめを早急に行いたい。
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