研究概要 |
本研究の目的は,低品質な手書き宛名を高精度に認識する手法を考案することであり,その具体的手法として文字の構造解析法の適用を考えている.この目的を達成するため,本年度の研究では,実施計画に示したように,手書き宛名データベースの整備と品質評価実験を行い,誤認識の原因調査と新しい認識方式についての検討を行なってきた.当初の予定通り,データベースの整備は来年度前半まで続けるが,既に整備されているデータについては予備認識実験を行なった.その結果,崩し字・接触文字・入り込み文字や,毛筆等で書かれた草書体の文字などは,現在の認識技術では認識が困難であるが,個々の手書き文字図形の構造解析によらなくても,住所録を用いた後処理によって,ある程度の誤認識を緩和することが可能であることがわかった.この後処理手法提案と,その効果については研究発表論文[1]の一部として発表した.また,今後,更に高精度な認識手法を提案して行くために新しい認識方式について検討を行っている最中であるが,従来から非常に困難と考えられてきた文字の構造解析を行うために,あらかじめ構造情報を持った手書き文字としてオンライン文字筆跡を利用し,何らかの方法で誤認識文字の救済ができないか模索している最中である.この検討については来年度も継続して続けるが,本年度は,オンライン筆跡を用いた手書き文字認識に関する検討を研究発表論文[2]で,また,オンライン筆跡を用いた手書き文字認識の新たな手法についての検討結果を研究発表論文[3]でそれぞれ発表した.
|