投票制度における各投票者の影響を評価する「投票力指数」としては、様々な考え方からいくつかの異なる指数が提案されている。本研究では、投票者(主に政党)が自らの決定機関での影響を高めるためにいかに提携を組めばよいのかについて考察した。一部の投票力指数の考え方によれば、政党が議席数を増やすことによって自らの影響力を低めてしまう可能性があることが指摘されていることである。本年度はそれら投票力指数の間の関連について、特にどのような時に議席数と影響力の逆転が起こるのかを調査し、特に政党が多く、大政党と小政党の格差が大きい時に特に逆転現象が起こりやすいことを指摘した。また、それをもとにして、投票力指数の分類を試みた。複数の財を対象にするような投票ゲームを作成すると、従来提案されている主な投票力指数は最終的にシャープレイ・シュービック型とバンザフ型の2つのタイプに分類することができる。昨年度の研究で既にシャープレイ・シュービック型の評価に基づいた提携形成について現実の事例を分析しているので、今後はその他の評価を用いた提携形成を調査・比較する必要があると思われる。 さらに本年度は、段階的な選択が可能であるような投票(多段階投票ゲーム)とファジィ投票ゲームについて、それぞれで考えられている投票力指数を一般化した概念について比較し、関連性を導いた。
|