研究概要 |
PVMを利用して,動的に計算機の追加/削除を許すEnvironment Managerを開発した.Environment Managerでは,並列分枝限定法に利用する計算機構成と利用する時間帯等の定義にしたがって,PUBBのSolverタスクを起動/停止する.これまで,Windows環境を含めた環境へ,このシステムを拡張することを考えてきた.しかし,今後独自にこのようなシステムを拡張することは労力の無駄になる可能性が高いと考える.PVMの開発者たちも,プロジェクトをHARNESS(Heterogeneous Adaptable Reconfigurable NEtworked SystemS)へ開発の主体を移している.HARNESS自体が,「動的に再構成可能なコンピュータ・ネットワーク環境」を構築する汎用ソフトウェアである.さらに,HARNESSプロジェクトだけでなく,Java PlatformでもJini技術が提案されており,こちらはネットワークに様々な機器をプラグインして使えるようにするための汎用技術である.このような事実から,動的に再構成可能なネッ卜ワーク環境を利用した並列・分散環境基盤そのものが,実用化に向けて動き出していることがわかる. 本研究の目的は,「並列分枝限定法」の可能性追求,あるいは利用以界を見極めることである.最低限度の並列動作環境の構築は,数値実験を行う上で必要であった.しかし,現状では「多数の計算環境が得られる」という観点から,基盤技術動向に注意を払うとともに,新たな基盤技術上で動作するPUBBの再構築が必要である.現在のPUBBは,既に動的に動作環境が再構成された場合を想定し,並列分枝限定法行時の負荷分散のメカニズムを設計している.現在のPUBBと同じAPI設計である,新システムへ問題固有のプログラム部を移植後,数値実験を行うことで負荷分散の性能評価が必要である.
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