本研究は、人間の得意とする柔軟性を、変化に富む生産工程におけるリアルタイム性の高い管理や制御に生かすための、人間オペレータと機械との間の相互作用を円滑に行うためのユーザインタフェース設計の指針を見いだすことであり、本年度は、まず、対象とする生産工程モデルを設定した。本研究では、1人の人間オペレータによって生産スケジュール管理やリアルタイムな人間監視制御が可能である範囲をモデルとして設定した。対象となるモデルの選定にあたっては、工場への聞き取り調査や意見交換を活発に行い、実状に即したデータを収集した。 次に、シミュレーション実験で行うため、そのためのシミュレーションシステムを設計し開発した。シミュレーションシステムは大きく分けて、実際の生産工程をコンピュータ内部で模擬的に行う生産工程シミュレータ、未来予測や人間オペレータの意志決定を支援するためのオンラインシミュレータ、人間オペレータが実際に生産スケジュールを管理したり、人間監視制御を行うためのユーザインタフェースといった3つの機能から構成される。ユーザインタフェースには、円滑なマン・マシンインタラクションを実現するためにグラフィカルユーザインタフェース(GUI)を用いた。本研究では、これらの機能をネットワークに接続されたパーソナルコンピュータ上で機能を分散させて実現させた。 また、これらを実現させるための付加的な技術として、生産工程における情報システムにクライアント・サーバシステムを応用したり、WWWシステムを用いたWebベース型の情報ネットワークシステムを導入した。そして、人間と機械の間にネットワークを介した、マン・ネット・マシンインタフェースの概念を提唱した。
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