HIDランプの瞬時再点灯問題の解決法として、ランプ内で予備光電離を起こし、これにより生じた荷電粒子により主放電を誘発し、瞬時再点弧を可能にするという新しい方式のHIDランプの基礎研究として行われた。具体的には、HIDランプ内に光予備電離用紫外光をXeClエキシマレーザ光で模擬し、ランプ内にこれを照射して放電管内の封入気体および電極をターゲットとして初期電子を生成し、これにより放電開始電圧を低下させて高圧水銀ランプの再点弧時間を短縮するという実験を行った。その結果、以下の結論を得た。 1. レーザ光照射による高圧水銀ランプの再点弧時間の短縮効果は、照射位置によって異なり、効果の大きい順に、(i)陰極を直接照射、(ii)陽極を直接照射、(iii)陰極近傍を照射、(iv)電極の中間を照射、(v)陽極近傍を照射となる。 2. 陰極を直接照射した時以外では、レーザ照射と補助電極を併用すると、再点弧時間の短縮効果が大きくなる。 3. 再点弧時間は、レーザ照射が無い時の230秒から、陰極を直接レーザで照射し補助電極を併用した時に再短の85秒にまで短縮された。補助電極を使用せず、ターゲットとしないで、レーザを陰極近傍に照射した場合でも、再点弧時間は170秒にまで短縮された。 4. 補助電極を使用しない場合は、初期始動、再点弧ともに不可能であるが、レーザ照射により、初期始動、再点弧とも可能になる。 以上の結果から、紫外光照射による初期電子供給効果によりHIDランプの再点弧時間の短縮効果が生じることが明らかになった。これにより、次年度に重水素ランプなどの構造の簡単な紫外光源からの紫外光による光予備電離型のHIDランプの実現の可能性が高くなると期待される。従って、今後は、重水素ランプなどを使用した光予備電離型のHIDランプの実用化の研究を行なう必要がある。
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