研究概要 |
本研究は,大気圧気体放電を用いた窒素酸化物除去における放電初期の反応過程を調べることを目的とし,特に,放電ガス中にアンモニアを添加した際の反応過程に焦点をあてている。平成10年度はこの実験システムを構築し,計測を行なった。 1. 実験システム 反応過程の計測は,針対平板電極間にパルスコロナ放電を発生させ,この放電からの発光を時間分解計測することで行なっている。この時,ガスはN_2/O_2/H_2O/NO/NH_3の混合ガスとした。シングルフォトンカウンティング法を採用することで微弱光の計測を可能としている。ガスの分圧を変化させた際の,パルス放電に同期した各スペクトルの発光強度,および減衰の時定数から,放電初期における一部のラジカル反応の同定,およびその反応係数の計測に成功した。 2. 得られた成果 (1) 次の励起種からの発光を観測した。 N_2(C),N_2(B),N_2(a),N_2(x),N_2^+(B),NO(A),NO(B),NO(C),NO(D),OH(A),NH(A)。 この中で,窒素の励起種は主として電子衝突励起によること,その他はラジカル反応によることが明らかとなった。 (2) N_2(A),N(^2D)のNH_3によるクエンチング係数を見積った。それらの値は,それぞれ, 1.1×10^<-10>[cm^3s^<-1>],5.7×10^<-11>[cm^3s^<-1>]である。 (3) NH(A-X)の発光の時間変化より,この発光の励起過程はNH_3+N_2(A)→NH(A)+productsであることがわかった。これより,放電内部でのNH_3解離の主な前駆体はN_2(A)と考えられる。
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