研究概要 |
大気圧気体放電を用いた有害ガス除去では,放電初期に生成されたラジカル種の反応が重要な役割を果たし,その反応過程の解明やモニター手法の開発が強く望まれる。本研究では,大気圧気体放電を用いた窒素酸化物除去における放電初期の反応過程を調べることを目的とし,特に,放電ガス中にアンモニアを添加した際の反応過程,及び適切なアンモニアの添加法について実験的に検討を行なった。 1.時間分解発光分光による反応過程の解明 針対平板電極間にパルスコロナ放電を発生させ,この時の時間分解発光計測から放電初期の一部ラジカル反応の同定,及び反応係数の推定を行なった。NH_3に関連する反応として,N_2(A),N(^2D)のNH_3によるクエンチング係数を見積った。また,NH_3がN_2(A)との反応で解離する可能性の高いこと,NH(A-X)遷移の発光過程について検討した。 2.アンモニアの添加法についての検討 気体放電を用いた窒素酸化物除去過程において,NOは酸化反応を経てHNO_3に変換されやすい。このHNO_3が溶解性を利用した液相反応に着目し,放電ガス中に直径数10μmの水滴を添加してNOx除去効率の計測を行なった。更に,アンモニア水を希釈したアルカリ性液滴を添加した際の効果を調べた。HNO_3は液滴のpHに依らず0.1秒のオーダで液滴内に取り込まれること,アルカリ性液滴を添加することでNO_2を液滴内に吸収できることなどを明らかにした。
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