平成10年度の研究成果 開発中の軟X線偏光測定器は偏光素子を作成する蒸着槽、偏光測定を行う測定槽及び作成した偏光素子を蒸着槽から測定槽に転送する移動機構を基本として成り立っている。それらはいずれも超高真空仕様である。平成10年度はそれらのうち測定槽と移動機構の開発を中心に行った。既存の蒸着槽については超高真空の立ち上げを終了しかつ蒸着装置の水冷機構の整備も終わった。現在は蒸着基盤を作成しており蒸着を実際に行いつつある。 1. 移動機構の開発 移動機構は作成した偏光素子を蒸着槽から測定槽に転送する重要な機構である。その移動機構として超高真空仕様の永久磁石を用いた線形回転導入器を採用した。実際の真空度は2.0×10^<-10>torrよりも良い真空が得られ、蒸着基盤を劣化させずに測定槽に転送することがでぎる。 2. 測定槽の開発 軟X線の偏光を測定するためのには特別な機能が必要である。更に本研究では大型施設としてのプラズマ発生装置から放射される軟X線の測定を行うので遠隔操作で偏光測定を行わなければならない。従って開発中の測定槽には光学系の調整がほとんど不要な分光器(Johann型結晶分光器)及び軟X線を透過させるだけで偏光に応答する素子を採用した。現在、測定槽には偏光素子を飽和磁化させる永久磁石及びJohann型結晶分光器を取り付けつつある。今後軟X線を測定する電子増倍管を取り付けて超高真空の立ち上げを行い、軟X線偏光測定の較正実験を行う。
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