イオン熱速度程度の大きなフローの存在するプラズマにおける微視的揺動を記述するための非線形電磁的ジャイロ運動論的方程式を導出した。このジャイロ運動論的方程式はスラブ、円柱及びトーラス配位を含む一般的な磁場配位に対して適用できる形で表される。また、このジャイロ運動論的方程式において、異常粘性の原因となる項が同定され、異常粒子・熱輸送、異常粘性、異常熱交換、異常エントロピー生成に対する詳細な運動論的表式が与えられた。また、流体近似の極限において、この運動論的異常粘性は、よく知られたレイノルズ応カに帰着することが示された。トロイダル回転プラズマに対して、これらの異常輸送フラックス及び古典・新古典輸送フラックスを含む完全な粒子、エネルギー及び運動量バランス方程式が得られた。異常輸送フラックスとそれに共役な熱力学的力を関係づける準線形輸送行列のオンサーガー対称性が証明された。 イオン・ジャイロ運動論的方程式、断熱電子の近似及び準中性条件を用いて、高温プラズマにおける代表的な微視的不安定性であるトロイダル・イオン温度勾配不安定性(ITGモード)の初期値問題を局所近似の下に解いた。トロイダル磁気ドリフトが存在する場合、ITGモードの静電ポテンシャル・密度揺動の時間発展は指数関数時間依存性を持つ、normal modesとベキ乗減衰をするcontinuum modeの和として表されることを示した。
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