W7-AS装置で観測された新しいタイプの新古典「電子ルート」の物理機構の解明のため、本年度は以下の研究を行った。 1.昨年度に引き続き、W7-ASおよびLHDプラズマにおける様々なパラメータ、加熱シナリオにおけるECRH駆動電子流束に対する依存性などを調べ、ECRH駆動型電子ル一トの可能性について研究を行った。 2.ECR加熱により発生する高エネルギー捕捉電子による径方向の流束に対して、より詳細な物理的解明を行うため、径方向流束に対して定量的な議論も出来る解析的な理論モデルを構築した。この理論モデルを用いてW7-ASおよびLHDプラズマにおける径方向流束を求め、シミュレーション結果と比較を行い、ECRHが駆動する高エネルギー電子流束の物理的解析を行った。 3.背景プラズマを含めたコンシステントな径電場のモデルを構築するため、新しいシミュレーションコードの開発を行った。われわれは、まずモンテカルロ法を用いた局所新古典輸送の拡散係数を評価するシミュレーションコードの作成を行った。次に、完成した局所モデルコードに対して、これまでの他の局所モデルコードとベンチマークを行い、コードの信頼性を確かめた。 4.開発された局所モデルを基に、強いExBドリフトが存在する場合での新古典輸送の解析が行えるよう理論モデルの拡張を行い、それを含んだシミュレーションコードの開発を進め、ECRH駆動型電子ルートにおけるコンシステントな電場の解明を行った。
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