研究概要 |
近年,電力需要家による太陽光/風力発電システムの電力系統への導入が,計画されてきている。これらの電源が電力系統に大量に導入された場合,系統の負荷率が低下するため,系統を経済的かつ安定に運用するためには,新たな電力貯蔵システムの導入が必要となる。本研究では,太陽光/風力発電システムが中部電力管内の複数地点に導入された場合を想定し,電源代替率を計算するとともに,電力貯蔵システムを導入した場合の経済性について電力事業者側の立場から検討を行った。 まず,太陽光/風力発電システムの導入量を変化させながら,それらが導入された場合の受電端での負荷電力を計算し,それを春・秋,夏,冬の3つの季節に分類し,各時間帯ごとの負荷電力の確率分布を計算した。この分布から電力不足確率が1%となるために必要となる発電設備容量を計算した。この値と太陽光/風力発電システム導入前の発電設備容量から,太陽光/風力発電の電源代替率を計算した。その結果,太陽光発電では30%,風力発電では10%程度の電源代替率が得られることが分かった。 次に,太陽光/風力発電システムが導入された電力系統に電力貯蔵システムを導入した場合の経済性を,電力貯蔵システムを1日ごとに運用することとして計算した。ここでは,電力貯蔵システム導入後の負荷持続曲線を,代替率の計算と同様に3つの季節ごとに作成し,その持続曲線から各電源の発電電力量および必要となる設備容量を計算し,それらの値から年間の総費用を計算した。その総費用と電力貯蔵システム導入前の総費用から電力貯蔵システム導入による経済性を計算した。その結果,風力発電システムよりも太陽光発電システム導入時に,電力貯蔵システムの経済性が高くなることが分かった。
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