近年、輝尽発光体による放射線計測が注目を浴びている。そのような手法では、輝尽発光体に放射線を照射し、発光体を励起状態においたのち、誘導放出用の光を照射することによって放射線照射量の測定が行われる。本研究では、このように放射線照射と誘導発光を別に行うのではなく、放射線照射中に誘導用の光を照射することによってリアルタイムの測定を行うことを目指す。発光体の種類の選択以外に、誘導用の光強度が強すぎると放射線による励起が十分に行われなくなることも考えられ、光強度のバランス等も検討が必要である。本研究を進めるにあたっては、発光体に放射線、及び適切に選択された光を照射しながら、発光を測定することが必要となる。そこで、2年度計画の初年度にあたる平成10年度には、波長をスキャンしながら発光体へ光を照射する単色光源を入手し、光ファイバーを利用して発光体への照射、及び発光の測定を行うシステムの構築を行った。また、研究対象とする発光体として、Gd_2O_2Sを母材とし、各種希土類イオンがドープされたシンチレータ、及び最近特に研究が進められている輝尽性発光体を入手した。 現在までのところ、実際の測定は行っていないが、測定を行うためのセッティングは完了した。平成10年度3月末以降、及び平成11年度に測定を行う予定である。測定は、まずX線発生装置、^<60>Coγ線源を用いて行い、平成11年度後半には高速中性子源炉「弥生」(東京大学)によって中性子照射実験を行う予定である。
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