都市集約度の高い中央区日本橋周辺京華小学校にて地中40mまでの地温鉛直分布測定を行い、さらに周辺の土地利用も考慮した3次元熱伝導シミュレーションを用いた検討から、地温分布は地表面改変と気温変化を記録しており、地温分布、地表面改変の歴史、周囲の建物配置を考慮して3次元シミュレーションを行うことによって年平均気温の変化を推定できることが示された。 東京で最もエネルギー消費密度の高い西新宿地区ついて、ヒートアイランド対策技術として有望な土壌熱源型ヒートポンブを用いた地域冷暖房システムの設備規模と排熱削減効果について検討した。 一般的に使用されているヒートポンププロセス温度を仮定して、管一本当たりの年間総排熱、採熱量と管長、設置面積から管間隔3mとすることで西新宿地区に土壌熱源型ヒートポンプを用いた地域冷暖房システムを導入することが可能であった。 特に排熱によるヒートアイランドが問題となる夏季について、建物用途、規模別に最も一般的と考えられる熱源設備のCOPと熱負荷原単位法を用いてビルごとに空調設備を導入した場合の人工排熱量を算出した。その結果、西新宿地区排熱量は日平均値として76.8W/m^2、9時から18時にはl40W/m^2にも達した。土壌熱源型地域冷暖房を導入した場合には日平均値が11.7W/m^2にまで減少し、84.7%もの人工排熱量を削減可能であった。 既存ビルや地域冷暖房に適用するためには、ボーリングコストと共に土地の確保、運転操作条件など解決すべき課題もあるが、ヒートアイランド対策と省エネルギーの観点から、地下ヒートシンク冷暖房システムは極めて有望な技術と考えられた。
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