| 研究概要 |
活性炭の吸着機能と活性炭表面に付着増殖する微生物による生物分解機能を兼ね備えた「生物活性炭」による水処理においてこれまで明らかになっていない複雑な有機物除去機構について、長期通水試験における液相(カラム入口出口)での物質収支解析と、固相(活性炭細孔)での細孔容積減少量や吸着物性状の測定を行い,吸着・生分解ハイブリッド機能の定量的な速度論解析を行った。
H10年度には、主に流入水質の変動が少ないモデル表流水を用いて生物活性炭カラム内での有機物除去のモデル化を検討した。すなわち、(1)生物担体表面に付着増殖した微生物が有機物を分解する生物膜効果は活性炭と粒径の等しい砂担体付着微生物による除去効果と同等とみなせた。また、吸着効果による活性炭細孔内への有機物の積算吸着量から活性炭細孔内の吸着物の残存量を差し引いた生物再生効果は、吸着前後での吸着による積算TOC除去量を砂担体での除去量との差として求めることができた。上記の物質収支モデルに墓づいてモデル表流水中の有機物を分類し、生物活性炭中での有機物の物資移動の様子を予測するための理論とコンピュータプログラムのプロトタイプを開発した。
これらの成果をもとに、H11年度には、開発した解析モデルを実際の河川水に適用し,その妥当性を確認するとともに,生物活性炭の長期間使用時の有機物処理性能と活性炭寿命を予測に必要な実際の河川水に対する物質移動パラメータの実験的な測定方法を整理した。また、水質の異なる原水に対し,目標処理水質やそれに必要となる装置規模,活性炭の再生サイクル,運転方法の影響などの分析を行い,各原水に対する生物活性炭処理の効果と限界を明らかにするとともに,高価な活性炭をできるだけ長期間連続使用するための装置や運転条件などの最適な設計方法を提案した。
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