筆者は、放線菌を液体培養した際に、培養液側に凝集活性のある物質(バイオポリマー)が分泌されてくることを見いだした。このバイオポリマーをアセトン抽出、メタノール/クロロホルム混液洗浄、エタノール沈殿法、Bio-Gcl A-15ゲル濾過カラムクロマトグラフィー法の順で処理することにより分離精製した。得られた最終精製標品について分光単的分析によりこのバイオポリマーがペプチドを含んだ多糖類である可能性が示された。また、ゲル濾過クロマトグラフィーの結果から、このバイオポリマーは排除限界付近に溶出されており、バイオポリマーは数百万以上分子量を有する非常に大きな物質であることが明らかとなった。このバイオポリマーがいくつかの複合成分から構成される複合型物質であるかどうかについては現在調査中である。 このバイオポリマーの性質は、pH4を中心に酸性領域で凝集活性を示し、中性域からアルカリ域にかけてはその凝集能は観察されなかった。一方、このバイオポリマーによる種々の懸濁物質への凝集能について検討したところ、酵母懸濁液や多糖懸濁液に対して比較的強い凝集活性を示した。また、青色と黄色のインクを用いた脱色試験ではその脱色能は極めて弱いものであった。
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