本年度は、シトクロムP450camの251番目のアスパラギン酸残基へ部位特異的に安定同位体を導入した変異体を調整するための準備として、まず天然のアスパラギン酸を同じ手法でシトクロムP450camに導入し、大量の酵素標品を効率よく得るための系の確立を試みた。 1) PCR法によって、251番目の位置にアンバー変異を導入したシトクロムP450cam遺伝子を持つ発現プラスミドを作成した。 2) 大腸菌抽出液を用いた無細胞系で合成したシトクロムP450cam酵素標品を、大量のスケールで効率よく精製する方法および手順の確立を行った。5mlのたんぱく合成反応液からHiTrap Blue(Pharmacia)によるアフィニティー、MonoQによるイオン交換、ゲル濾過、再びアフィニティー、の各カラムクロマトグラフィーを順に行うことにより、マイクログラム単位の精製酵素標品が得られた。 3) アスパラギン酸をもつサプレッサーtRNAの作成の検討を行った。 酵母のアスパラギン酸サプレッサーtRNAのtRNAの部分を、合成DNAから試験管内で合成し、酵母から調製したアミノアシルtRNA合成酵素を用いて、このtRNAとアスパラギン酸とを酵素的に結合させる手法を現在検討している。
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