モータータンパク質分子の機能を解析するためには、それが引き起こす化学反応とそれに共役した物理現象、たとえば構造変化、を同時に観察することが重要である。そのときに重要なことは、タンパク質分子が生きたまま、その活性を保ったままの状態で観察することである。本研究では近接場照明を使って、タンパク質1分子の酵素反応を可視化するととともに、タンパク質1分子の構造変化を原子間力顕微鏡で観察することを最終的な目的としている。 本年度は倒立顕微鏡に波長532nmのNd:YAGレーザー励起に対物レンズ型エバネッセント場照明を組み込む作業を行った。蛍光色素Cy31分子で標識したミオシン分子を可視化することが可能である。蛍光色素1分子をSITカメラなどの高感度カメラで検出するときには、画像処理が欠かせない。蛍光シグナルをカメラのショットノイズと分離するためである。画像処理ボード用のソフトウエアの開発もおこなった。このソフトウエアを使用することで、ビデオ画像をリアルタイムで時間平均表示できるので、蛍光色素1分子で標識したモータータンパク質1分子の観察が格段にやりやすくなる。
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