研究概要 |
1. ラット後根神経節細胞初代培養系を用いて、ビデオコントラスト微分干渉顕微鏡(VEC-DIC)観察下で、界面活性剤を含む緩衝液を灌流して細胞膜を除去し、細胞外液中に突起内の微小管を露出させた。この微小管をレーザー光(波長532nm)により切断したところ、ほとんどのものが脱重合を開始した。脱重合にはa)一様な速度で脱重合、b)段階的に脱重合、c)途中で脱重合を停止、の3つのタイプが見られた。切断後の脱重合速度は(+)端の方が(-)端に比べて速く、a)のタイプの方がb),c)よりも速かった。膜除去から切断までの時間に伴いb),c)タイプのものが増加し、同時に各々の脱重合速度が低下することから、外液中における残存時間が微小管の長軸に沿った領域安定性を反映することが示された。また切断により初めて脱重合を開始することから、安定型微小管の形成には末端の安定化も重要であることが確認された。 2. 細胞外液中に長時間残存する安定化された微小管の分子構成を明らかにするため、蛍光抗体法により数種の細胞骨格関連タンパク質との関連を調べた。安定化された微小管に局在するようなタンパク質は認められなかった。 3. 神経突起再生過程における微小管の動態を調べるために、ラット上頚神経節細胞培養系を用いてVEC-DIC顕徴鏡下で集光したレーザー光を神経突起に照射、突起全体を切断するための至適条件を調べた。0.5秒程度のレーザー照射により、大部分の神経突起を切断することが可能であった。切断後、神経突起は退縮を開始した。このうち約半数の突起が切断後1時間以内に再生に転じた。再生時の突起の伸長速度は、切断前の速度とほぼ同じであった。
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