昨年度までに確立したマイクロマス培養法による液性因子を介した細胞間制御の系を利用してBMP-2による軟骨成熟の過程をより後期の段階まで観察することに成功した。マーカー遺伝子の発現から判断して、この成熟の過程は生体中における軟骨成熟の過程をよく再現していた。またBMP-2によってBMP-6が誘導されることも示された。このBMP-6が軟骨成熟に重要な働きを担っている可能性について検討するためにBMP-6を過剰発現するためのレトロウイルスベクターを作成しBMP-6による軟骨成熟の促進を確認した。以上の実験から我々が構築したマイクロ培養系は生体中の軟骨成熟の過程をよく再現しており解析的な研究において有用な実験法であると判断した。(亀田らDev Growth Differ印刷中) また消化管の発生過程においてBMP-2が胃の腺形成を誘導しているのではないかとの仮説に基づき、ニワトリ胚消化管を用いたin vitro再構成実験にレトロウイルスベクターによる遺伝子導入実験を組み合わせることによって外来的に高発現させたBMP-2により腺形成が誘導されること、BMPの機能を阻害するNogginの発現によって腺形成が阻害されることを示した。以上の結果は腺形成におけるBMP-2の重要性を示すものである。(成田らDevelopment印刷中)
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