研究概要 |
Cul-1は出芽酵母Cdc53と相同性をもつ遺伝子で,線虫やヒトですでにクローニングされている。Cdc53はG1サイクリンの分解を促進するユビキチンリガーゼであるが,線虫C.elegansのCul-1ヌル変異体は過剰な細胞分裂がみられることから,線虫でもサイタリンの分解に関与することが,示唆されてきた。本研究は哺乳類でのCul-1の機能を調べ,サイタリンの分解すなわち細胞周期進行の機構を明らかにすることを目的としている。 1. 線虫及びヒトのCul-1 cDNA配列と相同性のある遺伝子をESTデータベースで検索し,ヒトに対し98%の相同性をもつマウスcDNAを得た。 2. マウスcDNAをプローブとし,マウスの各臓器のNorthern Blotを行った。Cul-1は全ての臓器にユビキタスに発現していることが確認された。 3. マウスcDNAをプローブとし,129/Sv系マウスのゲノムライブラリーよりマウスcul-1遺伝子の単離を試みたところ,少なくとも60kbpに及ぶ大きな遺伝子であることが分かった。 4. マウスcul-1遺伝子の一部を用いてノックアウトマウス作製のためのターゲティングベクターを構築し,ES細胞にトランスフェクションした。相同組み換えES細胞をマウス胚盤胞にインジェクションしてキメラマウスを得た。 現在は,キメラマウスを交配し,Cul-1へテロ変異マウスを作製中である。次年度は,ノックアウトマウスの解析を行う。また,引き続きゲノムのスクリーニング,解析を継続し,cul-1遺伝子の構造を明らかにする予定である。
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