研究概要 |
本研究は、生体UMS技術をUHF帯における生体組織の基礎音響特性の測定に適用したものである。 (1) 超音波デバイスの製作: 20-1000MHzの周波数領域をカバーするため、動作中心周波数150MHz,400MHz,1000MHzの超音波デバイスを作製した。 (2) 水の音速・減衰係数測定: UHF帯における生体組織の音響特性を測定するための基礎として、50-1000MHzの周波数帯にわたって、生体組織の主要な構成成分である水の音速、減衰係数を測定した。この周波数範囲において、音速は±0.005%以下の精度で速度分散がないことが明らかとなった。また、減衰係数は、±1%の精度で求まるとともに、周波数の2乗に比例することがわかった。 (3) 生体組織の基礎音響特性測定: 周波数範囲20-200MHzにおける、牛の内臓組織(肝臓、心筋、脂肪組織)の減衰係数、音速、音響インピーダンス、密度を測定した。いずれの音響パラメータも、各組織の違いをよく反映し、顕著な違いが見られた。また、減衰係数の周波数依存性も組織を特徴づける差異が認められた。 (4) タンパク質水溶液の基礎音響特性測定: 生体組織の音響特性を解明するための基礎的検討を行うため、牛ヘモグロビン水溶液の音響特性を20-400MHzの周波数範囲で測定した。水溶液の濃度は5〜25%の範囲とした。各音響パラメータは、水溶液濃度の変化に対してほぼ線形に変化する。減衰係数の周波数依存性においても、水溶液濃度の違いをよく反映することがわかった。
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