本年度は以下の研究を遂行した。 (1)多電子酸化還元可能なMnポルフィリン複核錯体の合成 イオン結合型Mnポルフィリン複核錯体を合成した。半経験的分子軌道法計算により、H_2O_2の反応サイトの構築と酸化還元電位の制御が多電子移動の鍵となるため、Mn-Mn間距離、ポルフィリン環歪、置換基等の分子構造を設定、Mnポルフィリン複核錯体を合成した。Stopped Flow装置を用いO^-_2・H_2O_2不均化速度を算出した結果、O^-_2の不均化速度は迅速に行われたが、H_2O_2不均化は必ずしも十分でなく、30%程度しか進行しなかった。 (2)DDS機能を有するMnポルフィリン錯体の合成 フリーラジカル発生部位でのO^-_2・H_2O_2消去を試みるため、高分子ポルフィリン錯体を合成、アルブミンをキャリヤとする新しいDDSモデルを構築した。in vivo実験より血中滞留時間の大幅な増大が確認でき、新しいキャリヤ輸送の可能性が示唆された。
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