研究概要 |
以下の成果を得て本年度の目標をほぼ達成した. (1) EPSI法プログラムの開発とインストール EPSI磁場系列のプログラムを開発し3Tの全身用MRI装置にインストールした.微弱な内部基準部物質(水と同一のボクセルに含まれ,しかも温度による共鳴周波数の変化がない基準物質)を検出するために水信号抑制パルス列(3セットの励起RF磁場と横磁化撹乱傾斜磁場)を磁場系列に付加した. (2) 小動物用プローブコイルの試作 ネットワークアナライザ(本補助金にて購入)を用いて小動物用プローブコイル(8エレメントバードケージ)を設計・試作した.人腕で撮像試験を行い,良好な画像を得た. (3) ファントム実験による原理の確認 エチレングリコールファントムをESPIにて撮像し,メチレン基を内部基準とした水酸基の化学シフトの温度依存性を測定するとともに温度分布の画像化を試みた.温度係数が文献値と一致するとともに良好な温度画像が得られることが確認された. (4) 摘出臓器における温度分布画像化 脂質メチレンを内部基準とした水プロトン化学シフトからブタ肝臓の温度分布を画像化し,試料温度推移を明確に可視化することができた.内部基準を用いた温度分布画像が試料位置ずれに対して不感であることを確認した.さらにブタ摘出脳をレーザー加温しその時の温度分布の画像化を試みた.本実験ではNAA(Nアセチルアスパラギン酸)信号を内部基準とするはずであったが,水抑制の不完全さならびにボクセル間の信号混入の影響でNAA信号を観測することはできなかった. (5) 来年度の予定 まずNAA信号検出のために水抑制パルスの倒れ角に対する拘束条件付加による最適化アルゴリズムの強化,及び体積励起パルスの付加によるボクセル間信号混入の低減を行う.その成果を踏まえて生きた家兎脳と試作コイルを用いて,高感度の信号検出行い,NAA基準で脳内温度分布の画像化を行う.
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