研究概要 |
簡易携帯型電話(PHS)とGPSを利用し,体内埋込み型補助人工心臓装着患者の遠隔管理システムの開発を行った.体内埋込み型補助人工心臓装着患者は,PHSと,病院内ホストコンピュータと体内駆動制御システム間の通信制御用携帯コンピュータ,そして患者位置情報取得のためGPSを持ち歩き,患者携帯コンピュータを介して体内駆動制御システムと病院内ホストコンピュータの間で双方向通信を行う.ホストコンピュータ側からの32ビットコマンドコードに従い,体内の駆動制御システムよりモータ回転角度とモータ電流のデータを送信し,途中患者携帯コンピュータでPHS通信間の誤り判断・再送請求のためデータのフレーム化処理を行い,ホストコピュータに伝送する.また,ホストコンピュータからのコマンドにより,同時に患者位置情報と電池残量データを,患者携帯コンピュータからホストコンピュータに伝送する.ホストコンピュータでは,モータ回転角度よりポンプ拍出流量を,またモータ電流より血圧を算出し,ディスプレイ上に表示する.さらに,患者位置情報を地図上に,電池残量データを棒グラフとしてディスプレイ上に表示する. この開発したシステムを,歩行及び自動車による移動伝送実験により評価した.その結果,基地局切り替わり時に再送請求が起こったが通信回線が寸断されることはなく,患者移動速度時速50kmにてPHS-ホストコンピュータ間をデータ伝送速度32kbpsで安定なデータ伝送を行うことができ,人工心臓の駆動状態を遠隔的にモニタリングすることができた.また,患者の位置情報も最大誤差100mの範囲で取得することができた.
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