研究概要 |
平成13年度は平成10年度から平成12年度までの三年間に行った保育園、小学校、大学におけるフィールドリサーチの補足調査とその分析を行い、報告書をまとめた。 1)日本語非母語児が在籍する保育園における保育観察調査とその分析:これは平成12年度に続く継続調査である。平成13年度は主として同児の籍の置かれているクラスを継続的に観察し、既に観察し、記録した日本語非母語児の含まれる保育活動の文脈を確認する作業を行った。主として分析され、報告されるのは1,2歳児クラスのこども達の集団である。日本語非母語児がその母語の相違によって何故目立たないのか検討した。2)小学校の日系ブラジル人児童に対する取り出し授業の分析:既に実施した日本語非母語児が在籍する小学校クラスにおける授業観察調査の分析を進め、その成果を「2001年度日本教育心理学会総会」と「2001年度ペンシルバニア大学Ethnography forum」で報告した。特に分析されたのは、主要教科を対象とした「取り出し授業」と呼ばれる日本語非母語児だけに対する特別授業である。指導者は子ども達に明示的に指示するわけではなく、子供達が「自主的に」課題達成できる状況を作り、間接的にクラスをマネージしていた。 3)成人留学生の授業観察の補足調査とその分析:既に観察した大学における「第二言語としての日本語クラス」に参加したインフォーマントに対して補足調査(インタビュー)を行った。途中経過は「サマービデオセッション2001(北海道大学)」、「2001年大阪ビデオセッション(大阪大学)」の二つの研究会で報告された。第二言語の集団教授学習における言語的相互行為の特徴が主として検討された。 以上三つの調査を検討することによってそれぞれの年齢の異なる集団に特有な非対称性の生成手続きが検討された。
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