研究概要 |
本研究の目的は,高校生や大学生の運動力学に関する「定性的な概念の理解」と「談話のコンテキストの組織化のあり方」の相互的な構成のあり方を会話分析的な方法を用いて詳細に分析し,この分析結果に基づいて,科学的な概念の理解を容易にする教授法をデザイン,洗練することである. そのために,平成10年度は,現時点まで,以下の計画を実施した. 1. 教授デザインを構成する学習教材の開発 a. さまざまな観察点(慣性系)から観察された運動や力の現象に関する一連の問題群. b. 運動力学的な現象をシミュレートしたコンピュータ・ツール. c. VTRによって記録された実際の力学実験,観察事例群. 2. 開発するコンピュータ・ツールの開発 3. 大学生についての学習実験およびその場面の会話のビデオ分析 現在までのところ,少なくとも大学生に関しては,運動力学的現象を観察するコンテキストがどのようなものかを,教授者と学習者が,開発したツールを用いながら相互に理解を明示しあい,また,共有することで,力,質量といった,従来は学習がきわめて困難である概念を容易に理解することが示された.
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