研究概要 |
免疫グロブリン遺伝子はpro-B,pre-B細胞段階で発現するリコンビナーゼであるRAG-1,RAG-2により再構成されるが、成熟B細胞になるとRAG遺伝子の発現が停止するので、一度確定したV(D)Jの構成はその後の分化段階で保持されると考えられてきた。しかし、我々はin vitroでanti-CD40/IL-4で刺激したマウス成熟B細胞や、免疫したマウスリンパ節の胚中心(GC)B細胞にRAGが再発現してくることを見いだした。in vitro,in vivoにおいてRAG-1,RAG-2が再発現する条件で、Vλ1-Jλ1再構成の結果生じるcircular excision productが検出されたことから、再発現するRAGはV(D)Jrecombinaseとして活性であることが示された。このexcision productはリンパ節の胚中心内で主に生成こしていることがin situ PCRにより確認された。RAGが発現する条件でpre-B細胞レセプターのサブユニットであるλ5も発現することが確認された。RAGの誘導に関与するサイト力インの解析から、IL-4以外にIL-7が同等の誘導活性を示すことを見いだした。IL-4(-/-)マウスでは免疫後のRAGの発現は正常であったが、抗IL-7R mAbを投与したマウスではその発現が強く抑制されたことから、in vivoではIL-7がより重要な役割を持つことが示唆された。抗IL-7R mAb投与によりGC形成が非特異的に抑制されることはなかった。抗IL-7R mAbを投与する我々の方法は、in vivoにおける特異的なRAG発現抑制法として極めて有用と考えられる。
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