研究概要 |
1)強行法規に基づく請求の仲裁とその問題点の検討、2)日本企業の仲裁事件担当者および仲裁人との面談、3)欧米諸国の仲裁・ADRの実態研究、を行った。具体的には、裁判所と同じ救済を仲裁人が与えうるかを考察した、「仲裁人の懲罰賠償権限」(国際開発研究フォーラム)、First Options Chicago v.Kaplan,115 S.Ct.1920(1995)の判例研究を「紛争の仲裁可能性を決定する権限」(商事法務)として発表、米国預託証券(ADR)紛争の仲裁を考察するため、Batchelder v.Kawamoto事件判決を商事法研究会(神戸)で報告後、「ADR保持者による株主代表訴訟の原告適格」を商事法務に発表。スイス仲裁事件、EC競争法と仲裁に関して、元スイス仲裁協会会長のブレッシング博士に質問状を送付し、東京で回答とコメントを頂く、後者のベネトン事件報告を4月に大阪で行う予定。1999年4月脱稿の「仲裁と消費者保護―米国における最新の傾向から―」が『佐々木先生追悼論集』信山社・所収)として2000年5月刊行予定。ライセンス協会ADRワーキング・グループ(東京)で「欧米のADR最新事情」を報告、JCAジャーナル1999年6月号から2000年3月号まで、連合王国・フランス・スイス・米国の順に最新事情を発表した。1999年10月のロンドン、12月のニューヨークにおける仲裁・ADRの現地調査を「欧米のADR最新事情」に反映させた。日本の仲裁機関の統計資料・最新事情の英文メモを用意したところ、日本からの情報が少ないとのことで、関心を持たれ、この分野における日本発英文情報の必要性を感じる。国際仲裁人(東京・名古屋)から話を聞き、国際商業会議所国内委員会・国際商事仲裁協会(東京・大阪)・知的財産研究所・東京/京都/大阪/神戸の各大学等での資料収集・研究打合せを行った。2)については、守秘義務の問題もあるため、当事者名を伏せた形で発表を考えている。更に助成が得られれば、ドイツ・ベルギー・イタリア・スウェーデン等のADR機関と仲裁・ADRの実態研究を行うと同時に、できるだけ早い時期に、今までの研究を「国際商事仲裁の法と実態―仲裁可能性をめぐって―」として纏める所存である。
|