研究課題/領域番号 |
10834002
|
研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
佐野 寛 岡山大学, 法学部, 教授 (40135281)
|
研究分担者 |
河野 俊行 九州大学, 法学部, 教授 (80186626)
道垣内 正人 東京大学, 大学院・法学政治学研究科, 教授 (70114577)
野村 美明 大阪大学, 大学院・国際公共政策研究科, 教授 (20144420)
|
キーワード | 国際裁判管轄 / 外国判決の承認・執行 / 国際民事訴訟法 / 国際訴訟競合 / ハーグ国際私法会議 / 条約 / ブラッセル条約 |
研究概要 |
1.本年度は、昨年度に引き続いて、オランダのハーグ国際私法会議における「民事及び商事に関する裁判管轄及び外国判決の承認・執行に関する条約案」の作成過程にあわせて、問題となる個々の論点についての日本の対応につき具体的な考え方を整理するとともに、これまでに実施した各国法の調査研究に基づいてそれぞれの参加国の利害得失を評価しつつ、1999年10月に作成された「民事及び商事に関する裁判管轄及び外国判決に関する条約準備草案」の各条項を分析し、日本にとって批准するにふさわしい内容とするには、具体的にどの点を修正し、またどのような規定を盛り込んだらよいか、さらにはそれが可能か否かの検討を行った。 2.その結果、条約草案は、全体としてみれば日本にとって意味のある重要な内容を含むものであるが、なおいくつかの点で修正を要することが明らかとなった。たとえば、原子力損害賠償に関して、これを条約の適用範囲に含めるのであれば、原子力発電所等の施設国に専属管轄を認める特則を盛り込む必要があると考えられる。また一方で、国際的法統一の観点からは、多くの国が条約に参加する必要から一定の妥協も必要であろう。その意味では、条約草案が管轄原因として被告が継続的な事業活動を行っていることでよいとする点については、これまでの日本法の考え方とは異なるものではあるが、その点を削除しなければ日本として条約の批准をすべきでないとまで考える必要はないとの結論に至った。 3.条約草案は、2000年秋に開催予定のハーグ国際私法会議第19会期で審議される予定であるので、今後さらに、同条約案の検討を継続し、その内容を公表していく予定である。
|