研究課題/領域番号 |
10834003
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
間宮 勇 明治大学, 法学部, 助教授 (00202333)
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研究分担者 |
宮野 洋一 中央大学, 法学部, 助教授 (30146998)
辻 健児 佐賀大学, 文化教育学部, 教授 (70037068)
内ケ崎 善英 桐蔭横浜大学, 法学部, 助教授 (70257426)
森田 章夫 東京都立大学, 法学部, 助教授 (30239652)
高田 映 東海大学, 法学部, 助教授 (70216654)
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キーワード | WTO / GATT / セーフガード / アンチダンピング / 自由貿易 |
研究概要 |
本年度は、前年度に引き続き国内法制度の検討を行うのと併せて、WTO体制下での紛争処理案件についても検討を行った。国内法制度としては、主にインドのアンチダンピング制度を取り上げ、WTOでの紛争処理案件としては、日米フィルム事件、カナダの乳製品に対する措置、韓国の乳製品に対するセーフガード措置を取り上げた。 インドのアンチダンピング措置は、1991年以降の経済改革によって国内市場開放に政策を転換した後、急激に増加している。現在のアンチダンピング法は、概ねWTO協定の内容をそのまま立法したもので、規定上の問題は存在しない。しかし、国内調査当局によるその運用は、情報公開を中心として問題がある。WTO協定では、司法的救済が要求されているが、インドのアンチダンピング法では、控訴裁判所に異議申立が認められている。発展途上国の場合、その独立性が疑問とされるが、インドの司法制度に関していえば、その独立性は確保されており、そこでの司法的救済手続が比較的機能している。 WTOでの紛争処理を見ると、基本的には国内調査当局の判断を尊重するものとなっており、国内産業保護のための輸入制限措置発動に関する実体的要件を審査することは、ほとんどない。他方で、WTOのパネルや上級委員会は、調査手続に関する形式的要件については、かなり厳格な立場を採っているため、形式的な手続要件に違反するとの判断が増加している。その結果、実体的要件について疑わしい措置の適法性が認められ、その点について問題のなさそうな措置が違法と判断されるねじれ現象があるように思われる。
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