研究概要 |
本年度は,乳幼児が日常的に接する振動環境であるベビーカーの振動及び人間による抱っこの振動環境について調査を行った. ベビーカーの振動については,その構造に起因すると思われる振動の特徴が,A型に区分されるものでも三つ折りタイプのものとそれ以外で大きく異なり,三つ折りタイプのものはむしろB型の三つ折りタイプのものに近い振動特性を示すことが分かった.しかしながら,B型は振動吸収力において顕著に劣ることもまた分かった.また,ベビー力一の座面の振動とダミーの腰の振動パターンががなりに通っており,乳幼児にかかる振動について,必ずしも乳幼児本体の振動を計測しなくても良いことが分かった. 一方,人間による抱っこの振動特性について,調査を行い,42名の被験者が各5パターンで乳幼児を抱っこしたと想定した場合の体重を支える側の手と腰の振動波形を測定した.42名は,乳幼児抱っこ経験の有無×男女の4区分に加えてプロのべビーシッター(女性のみ)で構成される.但し,抱き方は被験者にとって「抱きやすい方法」と指定したため被験者によって抱き方が異なった.また,乳幼児のサンプルとして用いたダミー人形が2才児相当とやや重かったため,なかでも半数以上がいわゆる「縦抱き」と呼ばれる抱き方をした. この結果は,歩きのリズムと支え側の手の振動,腰の振動と支え側の手の振動 の2面がら関連性を推定し,さらに支え側の手の振動から,抱っこされて移動するときに実際に乳幼児にかかる振動の条件を特定するために用いる.但し,結果の解析については,現在進行中であり,次年度に報告したいと考えている.また,次年度では,ベビーカーの構造的な特性と振動の関係について更に検討を進め抱っこの条件に近い振動(及びその他の要素)を持つベビーカーの試作・検証につなげたいと考えている.
|