研究概要 |
乳幼児が日常的に接する振動環境であるベビーカーの振動と人間による抱っこの振動環境の比較調査を行った. 6種類のベビーカー,を5パターンの路面状況及び走行速度で試験した,抱っこについては,42名の被験者が各5パターンで乳幼児を抱っこしたと想定した場合の体重を支える側の手と腰の振動波形を測定した.りょうしゃの比較検討の結果,ベビーカーの振動と抱っこの振動は,2つの点で大きく異なることがわかった. 1)振動のピークが,ベビーカーが5-8Hz,抱っこが1-2Hzと,顕著に異なる.比較は,乳幼児の移動速度を基準とした.抱っこの場合,明らかに歩行速度に依存するが,ベビーカーの場合は必ずしも移動速度に依存しない. 2)振動に含まれる周波数成分が,人間による抱っこの場合,等比的なピークとなって現れる傾向が強かったのに対し,ベビーカーでは等比的な成分がほとんど現れなかった.これは,抱っこの場合は,比較的大きな変位が起こってもすぐにそれが収束し,しかも,リバウンドが少ないことを意味する.対して,ベビーカーは.揺り戻しに対する抑制がきかず,常にがたがたと揺れる感じである. ベビーカーに乗車時の乳幼児の反応についても,ビデオカメラによる観察法によって評価を行った.個々の乳幼児間での乗車時の機嫌の差は評価できたが,乳幼児間に共通する傾向は全く見られなかった.乳幼児の段階では,乳幼児の反応を感性的評価基準とする一般的な評価につなげるためには別な角度からの検討が必要だと思われる.
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