研究概要 |
平成10年度に実施した事項と得られた知見を以下に示す。 1. これまでの研究成果の整理と評価対象景観の選定 これまで申請者らが実施した研究成果のうち,特にみどり景観を対象としたものを整理し,データを統合化して再分析を行った。年齢や性別,居住経験などの社会的属性の異なる回答者について評価傾向,評価構造の観点から比較し,心理的評価に及ぼす影響が大と予想される個人特性について検討した。また,みどり景観の評価傾向から評価に影響を及ぼす物理的特性について把握した。続いて,特に後者の結果に基づき,これまで研究試料とした景観写真を分類・整理するとともに,新たに撮影した景観を加え,実験で使用する景観を選定する上で留意すべき事項を抽出した。 2. 注視点特性による景観の認知構造に関する把握 地域景観の認知構造を理解する上で有効と考えられる注視特性について,申請者らの研究成果を含めこれまでの知見を整理した。次に,申請者らがコンピュータ画像処理を用いて作成した,遠景2種,中景3種,近景3種に変化させた合成画像18種に3種の画像を加えた合計21種のみどり景観を評価対象として,アイマークレコーダによる注視特性を把握する実験を11〜12月に実施した。学生47名を被験者とする1景観30秒間の眼球運動の測定結果,SD法によるイメージ評価を主とする心理的評価の結果を分析し,景観の物理的特性と心理的評価,注視点分布との関連について検討を行った。
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