研究課題/領域番号 |
10835012
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
酒井 義郎 山口大学, 工学部, 教授 (60107729)
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研究分担者 |
一川 誠 山口大学, 工学部, 講師 (10294654)
平井 隆 山口県立大学, 国際科学部, 教授 (60035144)
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キーワード | 視覚刺激 / 被験者実験 / 視野 / コンピュータグラフィックス / イメージ / 静止画像 / 3次元動画像 / 心理効果 |
研究概要 |
本年度は視覚刺激を中心に研究を行った。視覚刺激としてコンピューターグラフィックス(CG)によるアニメーションを作成し、いままであまり実験に基づいた議論のされることのなかった動画像の運動要因について詳細な検討を行った。得られた結は以下のようである。 (1) 基本的な視知覚特性として、対象の位置のずれの認識には当事者の視カに応じて背景視野の適切な大きさが存在する。 (2) 静止画像の心理的効果で重要なものは左右の方向であったが、3次元動画像では上下の方向であることが明らかになった。つまり3次元動画像では、左右のバランスよりも上下の重力の方が観察者に与える心理的効果が大きいといえる。また、対象が動いていることから、対象と観察者の間に位置関係のとらえ方の相違が生じ、このことも心理的効果に大きな影響を与えていると考えられる。 (3) 3次元動画像が観察者に与える印象は、従来から行われてきた一般的なイメージ研究には当てはまらないことがわかった。3次元動画像が与える印象は、その幅が限定されていた。 以上の研究結果から、次の2項目が明らかになった。 (A) 3次元動画像は観察者に与える印象の幅が狭く、観察者のイメージを限定することが可能である。 (B) 解釈を限定した運動刺激を提示することによって、映像をデザインする側の意図する心理的効果を生起させることが容易になる。 このように、3次元動画像の運動要因が心理的効果に与える影響は大変興味深いものとなった。しかし、本年度の実験では運動物体の色や形、質感といった情報をなるべく排除した。今後、このような情報も考慮に入れた実験を、多くの被験者で検討することが必要と考えられる。
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