本研究は、以下の3つの課題を相互に連携させながら進めた。 (1)複雑な対象物に対する主観的評価基準のモデル化 自由度のあるテクスチャ画像等を対象に、画像を特徴付ける複数の要因(色彩、模様、空間的配置、等)と、それを見る一人一人の主観的評価の関係を、各要因に対応する複数の画像特徴量を抽出するチャネルの間の非線形な相互作用と、そこでの主観的評価基準の個人差としてモデル化した。申請者が明暗・色彩に対して考案した、刺激に対する正応答・負応答の非線形な相互作用によるモデル化を一般化して、複数のチャネル間の相互作用の記述とした。 (2)複数の対象物を同時に知覚する場合の主観的評価基準のモデル化 様々な事物(例:天井、壁紙、絨毯、家具)が同時に視野に入る場合に、それを見る一人一人の主観的評価の過程を、複数の対象物を主観的に評価する各チャネルの間の非線形な相互作用と、そこでの主観的評価基準の個人差としてモデル化することを試みた。 (3)対象物の内容検索・空間配置でのコーディネイト手法 印象語等で示された感性的条件、対象物が含むべき色彩や模様に関して与えられた物理的制約条件、複数の対象物の空間への配置等の、種々の制約条件を充足するような準最適な解として、種々の対象物を検索し、その具体的な空間への配置を求めるアルゴリズムを作成した。
|