従来、衣服に対する消費者の要求は、製品の耐久性能に関する項目が大多数を占めていた。現在は衣服の機能性や着心地が重要視され、個人のライフシーンやライフスタイルに合う衣服が要求されるようになってきた。したがって、生活者の要求を満足させるためには、着心地を満足する衣服を提供することが必要とされている。 着心地は、その表現の仕方にも個人差があり、また、その表現方法は主観的であいまいさを多く含むため、着心地を衣服の設計要因として入力することは非常に難解な問題である。それを解決するには、着心地を客観化する方法が必要である。ところで、我々は、従来より着心地を科学的な視点から捉え、衣服の身体に対する適合性の評価方法について検討を行ってきた。本研究ではそれをさらに発展させ、曖昧で複雑な個人の感性情報を衣服設計に反映させるための着心地評価システムの開発の検討を行うことを目的としている。そこで、本年度は、最初に人体および着衣の静的および動作時の三次元形状の計測法の検討を行った。次に、人体および着衣の動的形状の経時的な計測法を確立するため、人体の動作による体表面の経時的な変化量の計測法の検討、着衣表面の経時的な動的形状の計測法の検討、および、人体および着衣の動的なデータの解析法の検討を行った。 来年度は、今年度に確立した計測法を用いて被験者実験を行い、静止時ならびに動作時の衣服の身体に対するサイズ適合性評価法に発展させる予定である。
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