研究概要 |
本年度は三畳紀初期・中期の時間面におけるレディオラリア化石画像および露頭画像について古生物学データベースの構築を行い,群集解析を実施した.データベース化を行った試料は,南半球高緯度帯を代表するニュージーランド北島・ワイパパテレーンのリン酸塩コンクリーション(三畳紀中期Anisian-Ladinian),南島ケープルズテレーンのリン酸塩コンクリーション(三畳紀中期Ladinian),ヨーロッパテーチス地域の石灰岩(三畳紀中期Ladinian)から採集している.各試料から産出する全種について,走査型電子顕微鏡で撮影したレディオラリア画像を購入したフィルムスキャナーを通じて,購入した画像データ処理専用コンピュータに取り込みを行った. ワイパパテレーンの4試料について,レディオラリア化石300弱の個体数の画像データベース化を行った.ケープルズテレーンの2試料について100個体以上の画像データベース化を行った.一方,低緯度を代表するヨーロッパテーチス地域の石灰岩の1試料からは,2000個体弱のレディオラリア画像を撮影し,その画像データベースを現在構築中である.また足尾帯の珪質頁岩層(三畳紀初期)の連続層序断面について,150枚近くの露頭画像(lmxlm)のデータベース化を行った. ニュージーランドとヨーロッパテーチス地域の三畳紀中期のレディオラリア化石群集解析の結果,高緯度帯に固有な形態のレディオラリア化石が存在する事が明らかになった.外部骨格は厚く,長球形の外殻でパイローム(pylome)を持つ事で特徴づけられる.これらのレディオラリアはGlomeropyle属として新属を提唱し,7新種の記載を行った.またGlomeropyle属はニュージーランドおよび北東シベリアの三畳系からのみ産出している事,さらにGlomeropyle属の内部骨格構造を観察し,骨針が存在する事を明らかにした.
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