研究概要 |
本年度はジュラ紀中期・後期と三畳紀中期の時間面におけるレディオラリア化石画像について古生物学データベースの構築を行い,全種解析を実施した.データベース化を行った試料は,ウルロア層の石灰質コンクリーション(ジュラ紀中期Toarcian-Aalenian)である.ニュージーランド北島・ムリヒクテレーンに属するカフィア地域のジュラ系中部のウルロア層について,現地調査を11月〜12月にかけて実施して新たな試料を採集した.ムリヒクテレーンのジュラ紀中期の堆積物は,砂岩・シルト岩を主体とし,ゴンドワナ大陸の縁辺で堆積したことから,当時のレディオラリアは南半球高緯度帯海域を代表する群集である.昨年度に引き続きヨーロッパテーチス地域のBuchenstein石灰岩(三畳紀中期Ladinian)から産出する放散虫の全形態種の画像について,古生物学データベースの構築を行った.これらの画像データは大容量のデータとなるため,購入したCD-Rドライブを用いてCD-Rに保存した.ジュラ紀後期Tithonianを代表する地質断面について,高知県西部東津野村に分布する鳥巣層群相当層のマール・珪質頁岩層からなる古味口層の地質調査を行い,2カ所詳細な柱状図を作製し,レディオラリア化石の全種解析を続行中である. 三畳紀中期の時間面において,ニュージーランド(当時の南半球高緯度帯),北東シベリア(当時の北半球高緯度帯)とヨーロッパテーチス地域(当時の低緯度帯)のレディオラリア化石の全種解析に基づいて,両極の高緯度帯にのみ固有に分布するGlomeropyle属の種群の地理的分布の特異性を明らかにした(Aita & Bragin,1999).
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