研究概要 |
北海道下川地域に分布する中部中新統モサンル層から得られた珪化植物から、当時のフロラを推定した。この植物群には台島型の特徴種はなく,基本的に名寄周辺のMiddle to Late Miocene(鈴木,1967;植村,1991)や北海道東部のLate Miocene(Tanai & Suzuki,1965)florasに類似する。組成は落葉広葉樹主体で,若干の温暖要素植物やexotic genera(Decodon/Glyptostrobus)を含む。それらは、一般にMiddle to Late Miocene florasに欠如しているか、あるいは少ない。そのため、群集的にかなり異なってみえる本化石群は草本を含む局所的な湿生植生を強く反映したものであるといえる。 また、Decodon属やGlyptostrobus属は,現在はいずれも一属一種で、前者は北米大陸東部の河川流域に、後者は中国大陸南部の亜熱帯地域に残存しているが、化石はそれよりもはるかに広い生態域に存在していたことがわかった。 これらの結果については、松本・他が第16回International Botanical Congress(St.Louis,USA),平成11年度第63回日本植物学会、平成11年度第14回日本植生史学会にて研究発表を行った。
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