研究概要 |
オーストラリア産キク科シオン連のCalotis属、ハハコグサ連の広義Gnephosis属に、近縁属を加えて、核DNAのITS領域と葉緑体遺伝子matKの塩基配列を決定し、分子系統樹を作成した。Calotis属16種のITS1領域は251塩基からなり、75サイトで塩基置換がみられた。そのうち、39サイトで共有派生的な塩基置換が起きていた。また、解析を行ったすべての種で葉緑体遺伝子matKは1206塩基からなり、22サイトで塩基置換がみられた。そのうち、5サイトで共有派生的な塩基置換が起きていた。Brachyscome decipienceを外群にして最節約法とNJ法により系統材を構築した結果、双方の系統樹でCalotis属の種群は単系統 群を形成した。また、得られた系統樹ではn=8の染色体数をもつ種が基部にくることから、n=8からの減数によりn=7,5,4の染色体数が生じたことが明らかになった。また、広義のGnephosis属7種に、近縁と考えられているTricanthodium skirrophorumとEpitriche denissusを加えて、核のITS1領域の塩基配列を決定した。これらの種群のITS1は260塩基からなり、117サイトで塩基置換が起きていた。そのうち、50サイトが共有派生的な塩基置換であった。Millotia myosotidifoliaを外群にして最節約法とNJ法により系統樹を構築した結果、双方の系統樹でGnephpsis属の種群は単系統群ではなく、分類学的再検討が必要であることが示唆された。また、本属のなかで最少の染色体数をもつGnephosis tenuissima(n=6)はGnephosis drumondii(n=12)と非常に近縁であることが多くの共有派生形質の数および高いブートストラップ確率で強く支持されており、Gnephosis tenuissimaで染色体数の大幅な減数が起きたことが明らかになった。
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