研究概要 |
1. 平成10年6月18日から6月28日まで,ならびに7月10日から7月20日まで北海道各地で調査をおこない多くの研究材料を得た. 2. 分類学的研究の基礎資料として,ヒラタハバチ亜科に分類される属グループならびに種グループタクサのチェックリストを作成し,これまでに得られている分類学的情報を整理した(現在投稿準備中). 3. 次の内容の3論文を発表した.(1)既存の採集記録ならびに新たに得られた資料から,九州に5属18種のヒラタハバチが産することを確認した.このうちPamphiUus属の4種は九州から初めての記録であった.また同属の2種を北海道および四国からそれぞれ初めて記録した.(2)Pamphilius albopictus(Thomson)およびその近縁種を分類学的に再検討し,P.albopictus(ヨーロッパから韓国まで広く分布),P.kamikochensisTakeuchi(日本特産種),P.heecheonparki(新種,東シベリア,韓国)の3種を認めた.基準標本を含む,分布域内の各地から得られた多数の標本の比較研究の結果,オランダから記載されたP.viridipes Achterberg &AartsenがP.albopictusの同物異名であることを確認した.(3)1997年に採集された材料をもとに,3種のOnycholyda属ヒラタハバチを中国陜西省から初めて記録した.このうちの2種は新種として記載命名し,他の1種については,これまで中国の他の省から知られていた標本と比較して,色のパターンなどに若干の違いがみられることを指摘した.
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