研究概要 |
1.平成11年5月27日から6月6日まで,ならびに6月17日から6月30日まで北海道各地で,また7月25日から8月1日まで長野県の八ヶ岳および志賀高原において調査をおこない多くの研究材料を得た. 2.世界の種を対象として,ヒラタハバチ亜科に分類される属グループならびに種グループタクサのチェックリストを作成し,日本を含む東アジアからの新属Chrysolydaを記載した.これにより同亜科には,これまでに世界で6属157種が知られることが明らかになった.さらにNeurotoma, Onycholyoda, Pamphiliusの各属について,種群レベルの再分類をおこなって,これまでに得られている分類学的情報を整理した.また6属ならびに最大の属であるPamphiliusに含まれる12の種群について暫定的な系統解析をおこなった(現在フィンランドで出版予定の論文集に投稿中). 3.次の内容の3論文を発表した.(1)Pamphilius属のvafer種群に属する2新種を記載した.このうちP.opacusは本州中部山地の日本海側,P.naokoaeは山梨県増富でのみ採集されている.いずれも少数の標本しか知られておらず,生態については未知である.(2)北海道での飼育データに基づいて,Neurotoma属2種,Pamphilius属4種の寄主植物を新たに明らかにした.(3)ヒラタハバチ亜科に近縁のマツヒラタハバチ亜科に属する種のうち,これまで日本から未知であったAcantholyda aglaiaを北海道から初めて記録し,新亜種として記載し,寄主植物(ドイツトウヒ)ならびに生活史の概略を明らかにした.また原名亜種をロシア沿海州から初めて記録し,雄を初めて記載した.
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