研究概要 |
1.比較研究の基礎資料を充実させるため,平成10年6月および7月,平成11年5-6月,平成12年6-7月,ならびに平成13年6月および7月に北海道各地において,また平成11年7-8月,平成12年5月,6月,7月,ならびに平成13年5月に本州中国山地および中部山岳地帯において成虫の研究資料収集を目的とした調査を行った.4年間の調査を通じ未記載種および日本未記録種の標本を含む多くの基礎資料が得られた。 2.世界の種を対象として,ヒラタハバチ亜科に分類される属グループならびに種グループタクサのチェックリストを作成し,日本を含む東アジアからの新属Chrysolydaを記載した.これにより同亜科には,これまでに世界で6属160種,東アジアで4属95種,日本で4属47種が知られることが明らかになった.さらにNeurotoma, Onycholyda, Pamphiliusの各属について,種群レベルの再分類をおこなって,これまでに得られている分類学的情報ならびに分布および寄主植物に関する知見を整理した.またそれら6属ならびに最大の属であるPamphiliusに含まれる12の種群について暫定的な系統解析をおこなった.これらの研究を基礎に日本の広葉樹食性ヒラタハバチ相の特性とその成立過程を考察したが,日本以外の東アジア地域のヒラタハバチ相の情報があまりに少なく,満足の行く結論を得るには至らなかった.今後はさらに各東アジア地域,とくに中国のヒラタハバチ相の知見の増大に努める必要がある. 3.上記の研究の過程で明らかになった新知見の一部は,13編の論文として学会誌等に発表した.
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