研究課題/領域番号 |
10836023
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研究機関 | 国立遺伝学研究所 |
研究代表者 |
池尾 一穂 国立遺伝学研究所, 生命情報研究センター, 助手 (20249949)
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研究分担者 |
今西 規 国立遺伝学研究所, 生命情報研究センター, 助手 (80270461)
五條堀 孝 国立遺伝学研究所, 生命情報研究センター, 教授 (50162136)
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キーワード | 遺伝子重複 / ホメオボックス / PAX遺伝子 / 分子進化 |
研究概要 |
本年度は、ホメオボックス遺伝子の重複が生物の形態形成の多様化に与えた影響を明らかにするために、ホメオボックス遺伝子族の中からPAX遺伝子を選び、その分子進化学的な研究を進めた。 PAX遺伝子はホメオボックスドメインとペアードドメインを持ち、1から9までのサブファミリーに分類されるホメオボックス遺伝子の一員である。サブファミリーのうちPAX6は昆虫から哺乳類にいたるまで広い生物種にわたって眼の形態形成や神経系の発生に関与していることが知られている。分子進化学的な解析によると、PAXファミリー遺伝子の起源は非常に古く多細胞生物の出現まもなくには、少なくともいくつかのサブファミリーの祖先型が出現していたと考えられる。ドロソフィラにおいて見つかったPAX6遺伝子のホモログ遺伝子であるToy遺伝子については、その起源は約3億年前の遺伝子重複であり、昆虫の系統に特異的な遺伝子重複である可能性が示唆された。この結果は、現在このToy遺伝子が昆虫以外から見つかっていない事実とも一致する。一方、PAX6遺伝子とその祖先が共通であると考えられるPAX5,8遺伝子については、脊椎動物の出現以降の重複であり、無脊椎動物に見られる相同な遺伝子群はそれぞれ独立して特定の系統で重複を起こしていることが示唆された。 また、MHC遺伝子領域については、MHC領域中に含まれるPERβ11遺伝子に注目して、霊長類におけるその重複の数及び遺伝子の向きを調べるとともに、決定された配列に基づいた種の分化と遺伝子重複の関係を調べた。
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