研究分担者 |
神戸 士郎 山形大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (20211188)
篠原 慎一 環境電磁技術研究所, 機器対策技術部, 部長
森田 博昭 山形大学, 工学部, 教授 (50005914)
佐藤 駿 東京工業大学, 工学部, 教授 (50260534)
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研究概要 |
今年度前半は、薄層金属磁性体の高周波数領域の渦電流損失および強磁性共鳴現象に着目し、ノイズフィルタ用磁性材料の最適条件を明らかにした。具体的には、ノイズフィルタ材料の設計指針として渦電流損失が表皮厚さの約3倍の膜厚で最大になることを算出した。また,種々の厚さのCo系アモルファスリボンやパーマロイ薄膜についてノイズ減衰量を測定し,厚さが数MHzとおける表皮厚さの約3倍となる場合に最も大きなノイズ減衰量が得られることを明らかにした。 次に、より安価で高性能なフィルタ用材料としてFeを主成分としたリボンを検討した。すなわち,佐藤(東京工業大学)と協力し液体急冷法と熱処理を用いて高透磁率のFe系微結晶合金薄帯を作製すると共に、この材料の磁気特性や高周波帯域における磁気損失に対する熱処理の効果を検討した。ここで,磁気特性の測定は森田(山形大学)が,X線回折法による微細組織の解析は神戸(山形大学)が,磁気損失の測定は石井(山形大学)が,また,ノイズ減衰量の測定は篠原(環境電磁工学研究所)が行った。その結果,厚さ10μmのFeCuNbSiBアモルファスリボンを550℃で10分間加熱した場合,直径10〜15nmと微細なFe結晶がアモルファス相中に分散した構造となり平均的な磁気異方性が低下するため,最大の比透磁率が得られることを見いだした。この材料は前記のCo系アモルファスリボンとほぼ同等の磁気損失およびノイズ減衰特性を示し,既存のフィルタの約1/17と小形のノイズフィルタが実現可能なことを明らかにした。
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