研究分担者 |
篠原 慎一 環境電磁技術研究所, 機器対策技術部, 部長
森田 博昭 山形大学, 工学部, 教授 (50005914)
佐藤 駿 東京工業大学, 工学部, 教授 (50260534)
神戸 士郎 山形大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (20211188)
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研究概要 |
前年度に引き続き,安価で高性能なフィルタ材料としてFeを主成分とした磁性リボンを検討した。すなわち,液体急冷法と熱処理を用いて作製したFe系微結晶合金リボンの磁気特性や高周波磁気損失の改良法を検討した。その結果,厚さ10μmのFeCuNbSiBアモルファスリボンを550℃に10分間加熱した場合,直径10〜15nmのFe微結晶がアモルファス相中に分散した組織が得られ,平均的な磁気異方性が低下して高透磁率が得られる事,特に,リボンの幅方向に磁界を加えながら熱処理を行うとさらに約50%透磁率が増加することを明らかにした。本材料を用いたノイズフィルタのノイズ減衰量は無磁界中熱処理試料を用いた場合に比べ約50%大きく,既存のノイズフィルタの約1/27と少ない体積で同等の性能を達成できることを示している。これは従来検討してきたCo系アモルファスリボンに比べても50%程大きなノイズ減衰量である。 次に,最もノイズ減衰量が大きくなるような磁性リボン被覆ケーブルの構造を検討した。その結果,同一量の磁性リボンをケーブル巻き付ける場合には一カ所に集中して巻き付けるよりもケーブル全体に均一に巻き付ける方がノイズ減衰量が大きいことを明らかにした。この理由は,ケーブル近傍ではノイズ磁界が大きいため,磁性リボンがノイズ磁界を磁気損失として効率よく消費するためと考えられる。本ケーブル構造では磁性リボンがシールドも兼ねるため,外来ノイズによる信号品質の劣化を阻止する効果も期待される。今後は,本ケーブルの外来ノイズに対する耐久性(イニュニティ)も検討する予定である。
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