研究概要 |
前年度に引き続き本年度は,保存性に優れたマイクロ波帯生体等価固体ファントムの開発,および150MHz帯アンテナと人体との相互影響評価を行った。得られた成果を以下に示す。 1.グリセリンを主成分としたマイクロ波帯用生体等価固体ファントムの開発 昨年度開発した生体固体ファントムは,作成から日数が経過すると水分の蒸発のため,その電気的特性が変化してしまう短所があった.そこで本研究では,グリセリンを主成分とした生体等価固体ファントムを開発した.本ファントムは保存性に優れており,ラッピング無しで30日間放置しても,電気的特性に変化がほとんど見られなかった.また,形状保持性にも優れている. 2.150MHz帯アンテナと人体との相互作用評価 警察,消防,放送分野等で用いられる150MHz帯無線機は,携帯電話機等に比べて端末機の出力が大きく,人体近傍における機器の詳細な性能評価は必要不可欠である.本研究では,人体を直方体解析モデルで近似し,電界検出型アンテナである「半波長ダイポールアンテナ」と磁界検出型アンテナである「ループアンテナ」を人体近傍で使用した場合,これらアンテナの特性評価について数値解析を行った.その結果,ダイポールアンテナよりもループアンテナの方が,放射効率・最大利得評価のみならず,SAR評価の観点からも有利であることを明らかにした.
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