研究概要 |
得られた成果は以下に示す通りである。 1.培養骨芽細胞MC3T3-E1の増殖と分化に及ぼすELF磁界の長時間影響。 60Hz,3mTの正弦波交流磁界(ELF)の発生装置を用いて曝磁の影響を植え継ぎ培養後25日間に亘って観察した。曝磁群のALP活性は分化期と考えられる培養13日目で対照と比ぺて有意な増加を示した。一方、細胞内蛋白質含量も培養13-17日間で同様の有意な増加を示した。特に、コラーゲンおよび非コラーゲン蛋白質は共に14日目で有意に増加した。 2.培養骨芽細胞MC3T3-E1の増殖と分化に及ぼすELF電流の長時間影響。 60Hz,0.3mAのELF電流が骨芽細胞に及ぼす影響について、白金電極間における通電実験を行なった。通電の有意の効果は認められなかった。 3.培養骨芽細胞MC3T3-E1の増殖と分化に及ぼすELF磁界の短時間影響。 1)プラディキニン(BK)作用による細胞内Ca2+濃度の変動に及ぼす交流磁界(60Hz,3mT)の24時間曝磁の影響を、植え継ぎ培養から3日目の増殖期にある細胞と11日目の分化期にある細胞について調ぺた。 増殖期では、曝磁群の細胞のBK刺激による細胞内Ca2+濃度の一過性の上昇が有意に抑制され、特に細胞外液にCa2+が存在しない時では顕著に抑制された。 分化期では細胞内Ca2+の上昇は、対照、曝磁の両群共に認められなかった。 2)エンドセリン-1(ET)の作用下で、1)と同様に増殖期と分化期にある細胞で比較した。増殖期の細胞をETで刺激すると、曝磁群ではBK同様細胞内Ca2+の上昇が外液にCa2+がある無しに拘らず顕著に抑制された。一方、分化期にある細胞では増殖期の細胞と対称的に細胞内Ca2+濃度の一過性の上昇が両外液ともに対照群と比べ曝磁群では有意に促進された。
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