研究概要 |
わが国の居住環境のELF(極低周波)電界・磁界特性は未だ十分に定量化されていない。本研究は(1)送配電線からの電力周波数の電界および磁界の特性解析、(2)配電線に流れる高調波電流および不平衡電流による磁界の分布特性の解析、(3)家屋内の電気製品からの電界による人体誘導電流解析および人体に対する漏れ電流特性の解析、(4)電力線からの電界および磁界が同時に存在する場にいる人体に誘導される電流の特性解析、等を行っている。平成11年度の研究成果は次の通りである。 (1)送配電線下の地面近傍の磁界は周辺の接地物などにあまり大きな影響を受けないが、電界は地表の凹凸に大きな影響を受ける。また、大地の乾燥・湿潤状態による影響が電界測定値に大きく現れることが実験的に認められ、今後の解析が必要な重要な点が見出された。 (2)配電線からの磁界の実測結果から高調波電流の存在を確認した。特に,第5高調波電流の成分が多いことが分かったので、基本波と第5高調波からなる電流を仮定し、線下空間における合成磁界ベクトルにより高調波の影響を考察した。 (3)パソコンモニターからの電界による人体誘導電流特性を明らかにした。また、15種類の電気製品からの人体漏れ電流の測定を行い、ANSI規格の制限値との比較、および送電線電界による誘導電流との比較を行った。 (4)電界と磁界に同時曝露された人体モデル内部の誘導電流密度特性に対する電界と磁界の強度および位相差による影響を明らかにした。
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